表題にあるようなご質問を友人で営業マンの方から受けましたので、一文を載せたいと思います。
今のところ、日本銀行は量的緩和政策を来年春には解除するのではないかと観測されています。
では、量的緩和が解除されればどうなるか、銀行経営への影響はどうなるかを検討してみましょう。
銀行の資金調達・運用の構造の話をしますと、大まかに言って、短期で調達、長期で運用ということになっています。
調達は1年以内の定期ならびに普通預金が主力で、主に公定歩合に連動して金利が変動します。
一方、運用は、長期プライムレートに連動して金利が変動する貸し出しが主力です。
銀行経営の根幹は預金と貸出金との利ざやですが、現在は長短金利が接近しているために、利ざやが大変小さくなっています。
来年、量的緩和政策が解除されるとして、
まず、日銀は長期国債の市中買い入れの縮減か取りやめを図ることになるでしょう。
そうなれば、債券市場の需給が緩んで長期金利は上昇することが予想されます。
量的緩和が解除されましても、日銀は当面は、低金利政策そのものは変えないということなので、預金金利は現在とほぼ同じで「ゼロ金利」の状況にほとんど変化はないでしょう。
ところが、長期金利は現在よりも上昇することが予想されますので、それに連動する銀行貸出金利は上昇することになります。
したがいまして、銀行の利ざやは大きくなって、当然業績も良くなることが予想されます。
銀行株の株価への影響につきましては、未知の部分がありますものの、現在の状況よりも良くなると考えています。
ここで私たちが注目し、かつ考えなくてはいけないのは、日銀が量的緩和政策を解除するに当たって、
物価がプラスになることが条件になっていることです。
物価が下がる「デフレ」だから「ゼロ金利」でも預金する意義はありました。
しかし、物価が上昇している場合には「ゼロ金利」の預金をする積極的な意義が見出せません。
したがいまして、今以上に
「預金から投資へ」という行動をとる人たちが増えるのではないかと、今から密かに期待しているところです。
また、
企業経営への影響では、デフレ収束で「預金」の意義が薄れてきますので、設備投資や不動産への投資など、より収益性の高いところへ資金を振り向けたり、新規借り入れで設備投資をするというように、デフレ期よりも積極的な企業活動が見られるようになるかもしれません。
景気は今よりさらに良くなる可能性が出てきます。